八日目の蝉
<図書館で借りた本>
角田光代 著
『八日目の蝉』
終始暗い印象の物語。
不倫相手の赤ちゃん(恵理菜)を誘拐した女(希和子)が
本物の母親になる為にすべてを捨て
精一杯の愛情を注ぎながら生きる姿を希和子の視点で描いた第1章と、
4年間の逃亡生活の結末、子どもが産みの親の元に帰されたその後を
大人になった恵理菜の視点で描いた第2章からなり
不倫、幼児誘拐、カルト集団を扱いながら
血の繋がらない母娘ふたりの運命が綴られる。
自分とはかけ離れた世界のお話ながら、
リアルな描写にどんどん引き込まれて行った。
血のつながりを越えた母の愛は切ないほど分かるし、
誘拐は悪いことだけど、我が子のように育てる主人公に共感してしまい
捕まらないでと思ったりもしたけど、
いちばんの被害者で、大人の勝手な事情によって、
その度に何度も傷つきながら成長しなければならなかった恵理菜が、
やっぱり可哀想でならなかった。
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コメント
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子供の頃には、また独身の頃には、
子供を育てたいからという理由で
誘拐する女性のことを(ほぼ100%女性)
とても信じられませんでした。
だけど、幾多の山を越え谷を越えて、
人生の皺を重ねたこの歳になって初めて
その気持ちが痛いほどよくわかります。
とくに、小さなお子さんを見かけたら
どの子も可愛いいし、わがままを言い
駄々をこねているのも、理由も分かるし
また可愛く感じます。
もちろんそれが分かるから、つい優しくして
ばあちゃん子やじいちゃん子は、3文安い!
なんていわれるのですけれど。
この作者も、そんな人間の心を
ある意味優しくとらえてくれているのだと思います。
この本を読んだとき、調べたことがあります。
八日目の蝉という題名は、寿命の尽きる蝉という意味でしょうか?
卵を産み付けている蝉を、孫と一緒に見つけましたが、
本当にこのために、地上に出てくるのだなと思いました。
因みに、蝉は夏に出てくるけど暑さが嫌いで
一週間の寿命は、その暑さのせいらしいです(びっくり)
初夏早くや、秋口に生まれてきた蝉は
ひと月くらい、平気で生きるそうです。
暑さに弱く、夏が嫌いな蝉が、夏に地上に出るようにしたのは
神様にとって、どういう意味があったのでしょうね(笑)
喜んでいると思っていた蝉が、実は苦しんでいたなんて
まるで人間世界を観るようで
この世界に生きるという事は、苦しみを伴うものなんだなあと
お気楽ママさんのおかげで、
その時に感じたことをまた改めて思い出しました。
投稿: 歌姫 | 2014年8月 6日 (水) 10時38分
★歌姫さんへ★
歌姫さんも読まれてましたかー。
それぞれの女性の立場からの愛情や迷いや葛藤が
細やかに描かれていて、引き込まれる小説でしたね。
題名の「八日目の蝉」
どういう意味なんだろうかと・・・。
ふつう7日で死んでいく蝉なのに
仲間より長く生きた蝉は幸せなのか?
この小説の中で「八日目の蝉」は誰なんだろうか?
ラストシーンでそれが分かったような気がしました。
投稿: お気楽mama(yukiko) | 2014年8月 6日 (水) 19時22分